制作ねぶた
2021年
JRねぶた実行プロジェクト
術競 べ 袴垂保輔 と 鬼童丸
平安一の大盗賊として名高い袴垂保輔。
比叡山の稚児と伝わり、鋭い眼と長い髪を持つ妖童・鬼童丸。
彼らはともに妖術使いであった。
保輔がひとたび呪文を唱えれば、たちまち猛火があたりの樹々を焼きつくす。対する鬼童丸は大雨を降らせ、その火を打ち消す。保輔が大蛇を出し差し向けると、鬼童丸は天狗の術を使い大蛇を引き掴もうとする。
自慢の妖術を競い合った袴垂保輔と鬼童丸。オリンピックでの熱戦が繰り広げられる様に重ね合わせ、東京二〇二〇の成功を願うものである。
ねぶた制作/解説 竹浪 比呂央
銀賞 青森菱友会
雪の 瓦罐寺
中国北宋末、梁山泊に集う一〇八人の英雄豪傑の物語『水滸伝』。九紋龍史進と魯智深はその主たる登場人物である。
武勇に秀で、槍・剣・棒といった武芸十八般を極めた九紋龍。全身に九匹の龍の刺青をしていることからそう呼ばれる。
身の丈七尺もの巨漢で、気性は荒いが義侠心の持ち主である魯智深。背に百花の刺青があり、花和尚というあだ名がついている。
雪の降りしきるある夜、旅の道中であった二人は瓦罐寺でめぐり逢い、寺の人々を苦しめる賊の頭目・飛天夜叉と崔道成(送りねぶた)を成敗したのだった。
二〇二〇年は青森のねぶたと弘前のねぷたが国の無形重要民俗文化財の指定を受けてからちょうど四〇年という節目の年であった。四〇年プラス一の今年、そしてこれからも、青森と弘前互いに手を携え、津軽のねぶた文化のさらなる発展を目指してゆきたいと願ってやまない。この願いをこめ、弘前ねぷたの鏡絵にこれまで最も多く描かれてきた九紋龍と魯智深を青森ねぶたで表現するものである。
ねぶた制作/解説 竹浪 比呂央