制作ねぶた
2010年
JRねぶた実行プロジェクト
天孫降臨 の猿田彦
天界の神々が、初めて地上の葦原中国を統治することになったため、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が御孫である瓊々杵尊(ににぎのみこと)を高天原から遣わすことにした。瓊々杵尊が降臨しようとするとき、その道に立ちふさがっているものがいた。
そこで、天鈿女命(あめのうずめのみこと)がたずねてみると、降臨の先導をつとめるために出迎えた猿田彦神であった。眼光鋭く、長い鼻と手足をもった異形の姿の神である。天孫一行の道案内をしたことから、道祖神(道の神)、交通安全の神としても広く信仰を集めている。
本年十二月に東北新幹線全線開業を控え、これを寿ぎ、猿田彦神の御加護をいただき、郷土青森のますますの発展を祈るものである。
ねぶた制作/解説 竹浪 比呂央
マルハニチロ侫武多会
戻橋
京の都、堀川にかかる一条戻橋。源頼光の使いに出た渡辺綱が、深夜この橋のたもとで一人の美女に出会う。 綱は女に、五条のあたりまで送ってほしいと頼まれ馬に乗せるが、少し行くと女は鬼女の姿となって、「いざ我行く処は愛宕山ぞ」と叫んで襲いかかってきた。大立ち回りの末、髭切丸の名刀で鬼女の片腕を切り落とすと、鬼は愛宕山へと飛び去っていった。
歌舞伎の演目としても知られている、平安中期の伝説である。
ねぶた制作/解説 竹浪 比呂央
青森菱友会
阿倍比羅夫 津軽深浦 に立 つ
『日本書紀』によると、七世紀後半の越国(現在の石川から新潟あたり)の国司であった阿倍比羅夫が、180~200隻の水軍を率いて、数回にわたり日本海側の地域を北征したとの記述がある。齶田(〝あぎた〟現在の秋田)、渟代(〝ぬしろ〟現在の能代)、さらに津軽方面を平定し、これらの地方に中央政府の根拠地を確保した比羅夫は、有間浜(ありまはま)に渡島(わたりしま)の蝦夷らを召集して大饗したという。西津軽郡深浦町には、東川(あずまがわ)の河口〝吾妻浜(あずまはま)〟こそ、このときの有間浜であるという伝説が残っている。
風が風を呼び、波は岩礁(いわ)を叩いて砕け散る。天翔ける龍王の守護の下、津軽深浦・有間浜に立つ阿倍比羅夫の勇姿である。
ねぶた制作/解説 竹浪 比呂央