制作ねぶた
2013年
市長賞/
最優秀制作者賞
JRねぶた実行プロジェクト
八犬伝 円塚山
火遁の術 道節と荘助
江戸時代後期の人気作家、曲亭(滝沢)馬琴作、「南総里見八犬伝」の一場面。
時は文明十年(一四七八)の六月。所は武蔵国本郷円塚山のふもと。 すり替えられた、宝刀 村雨丸を、夫 犬塚信乃のために取り返そうとした浜路は、逆に網乾左母次郎に刺されてしまう。
そこへ、浜路の実の兄である犬山道節が現れ、左母次郎を斬り倒す。 瀕死の浜路は道節に、本物の村雨丸を夫へ届けることを懇願するが、その望みは聞き入れられず、息絶える。信乃を送った帰り道、円塚山に現れた額蔵(後の犬川荘助)。村雨丸を取り戻すべく道節と討ち合いになる。道節は荘助の珠と村雨丸をもって、火遁の術で身をくらます。荘助の手の中には道節の体から飛び出た珠が残る。道節も又、同じ犬士であることを知るのであった。後に、義兄弟の契りを結び、里見家再興のために尽くした八犬士たち。その姿に、今なお残る、東日本大震災の爪あとからの復興を切に願うものである。
マルハニチロ侫武多会
京 市原野 鬼同丸と綱
平安の昔、名将 源頼光は、四天王と数人の家来を従え鞍馬詣に出かけ、その帰り道、京都の北 市原野に差しかかった。 そこには、頼光に恨みをもつ盗賊 鬼同丸が牛の群れの中に紛れ、大牛の皮を被って待ち伏せていたのであった。四天王の一人、渡辺綱が動かない牛を不審に思い矢を射るや、牛の腹から鬼同丸が躍り出て頼光へ襲いかかってきた。だが頼光、少しも騒ぐことなく太刀を抜き、一刀の下に鬼同丸を退治した。ねぶたは、長剣を振りかざして頼光へ切りかかろうとする鬼同丸と、これを阻止せんと弓をもって身構える渡辺綱の勇姿である。。
商工会議所会頭賞
青森菱友会
津軽野萩ノ台合戦
奮戦 安東堯季
前九年の役にて源頼義に滅ぼされた安倍貞任が遺児、高星丸。津軽へと落ち延び、藤崎(現・青森県藤崎町)に拠を定めた。以来、その子孫は代々「安藤太郎」と称し、後に陸奥国津軽地方から出羽国秋田地方を支配した海の豪族、かの「安東水軍」の祖を興したと伝えられる。時は流れ、鎌倉は寛喜元年(一二二九)。当主、安東堯季の世。日本海の玄関口たる十三湊、その地を統治していた十三藤原氏と、一族の足固めのためこの重要拠点を手中に収めんとする安東氏の双方が萩ノ台にて激突。見事、堯季軍は敵を散々に打ち破り、十三湊を支配下へ置くことに成功した。この一戦を機に、日本各地および大陸と交易を結び、強大な力を持つこととなった安東氏。天翔ける麒麟が如き破竹の勢いを以て、一族を隆盛へ導かんと進軍し続ける堯季の奮戦に、東日本の復興と繁栄を願うものである。