制作ねぶた
2014年

JRねぶた実行プロジェクト
相馬太郎良門 妖術 を修 る

関東一円を征服し、朝廷に反旗を翻すと自らを『新皇』と称した平将門。しかし、朝廷の命を受けた同族たる平氏中心の武士団に討ち取られ、無念の最期を遂げた。戦乱のさなか、辛うじて生き延びた娘は奥州に隠れ住み、名を如月尼と改めた。その弟であり、将門の嫡男である太郎は幼い頃より、武芸を好み、馬を駆けては合戦の知識を学び、父、将門を偲ばせる武士へと成長していった。程なくして太郎は、妖しげな蝦蟇の術を使う仙人 肉芝仙と知り合う。この仙人から亡き父そして自身の素性を明らかにされると、はや一途に一族の再興を図ろうと一念発起する。妖術を会得すると、父の出生地である相馬から『相馬太郎良門』と名乗りを上げ、全国に散らばった同志を捜す旅へ出る。如月尼は瀧夜叉姫と名を変え、集まった仲間と相馬の古内裏を本拠地として良門を支えた。繋ぎ馬の旗を掲げ、宿敵である平氏の揚羽蝶紋を敢えて身に纏い、師たる肉芝仙より授けらるる妖術の修行に心血を注ぐ良門の姿である。
今もなお残る、東日本大震災の爪あとからの復興を切に願い、避難生活を余儀なくされる人々が、一刻も早くそれぞれの故郷へ帰る(カエル)日が来る事を祈念するものである。
ねぶた制作/解説 竹浪 比呂央

マルハニチロ侫武多会
雷神

太古より、自然は人々に豊かな恵みと潤いをもたらして来た。その一方で、容赦なく天災を引き起こす、怖れの対象でもあった。それ故、自然には多くの神々が存在すると考えられ、雷に宿る雷神は、五穀豊穣の神として崇め祀られて来た。雷鳴轟き稲妻が閃光を放てば稲穂が実るとされ、落雷はオオカミに似た雷獣という妖怪が、天空からものすごい速さで落ちて起こるという。ねぶたは、雷獣を従え三つ巴の炎の太鼓を打ち鳴らす雷神の姿である。
異常気象や天変地異が増加する昨今、我々は自然の怒りに自らを省み、雷神の神通力により、平穏な世が続くことを祈り願うものである。
ねぶた制作/解説 手塚 茂樹

知事賞/
最優秀制作者賞
青森菱友会
大間の天妃神 千里眼 と哪吒

とある日、越前と大間湊などの船が大時化おおしけに遭遇してしまった。 越前出身の舵取りの助言により、大間の沖船頭おきせんどうが必死に「天妃様」に祈願した。 船は一時波浪にのまれたが、天妃神によって救助された ― 菅江真澄すがえますみ 『天妃縁起』 より
青森県大間町。 『本州最北端の地』に似合わぬ南国の色彩溢れる祭りが年に一度行われる。
その名も 『天妃様行列』 女神の乗った輿、目に鮮やかな異国の香りのする衣装を身に纏った神々に竜踊り、そして打ち鳴らされる銅鑼の音や爆竹。 土地に福をもたらす神の巡行だ。
天妃様とは中国の東南沿岸部や台湾で篤く信仰されている道教の神 『媽祖まそ』 の別名であり、航海の安全や漁業を司る海の民を守る美しい女神である。
大間町に天妃様が祀られるようになったのは、江戸時代、元禄九年(一六九六)まで遡る。 九州で祀られていたものが勧請されたとも、徳川光圀とくがわみつくに公が海の民の励みとなるよう勧請したとも言われる。 どちらにせよ、日本古来の船玉ふなだま信仰や弟橘比売命おとたちばなひめのみこと伝説と結びつき、交易と共に海を巡り巡って大間まで伝えられたのだ。
行列には、天妃に調伏改心された悪鬼、千里眼せんりがんと順風耳じゅんぷうじが随神として共に祀られる少年神 哪吒太子なたたいし と随行する。
世界を繋ぐ海の守り神たる天妃神とそれを守護せんとする千里眼と哪吒。 海に四方を囲まれたこの国の安寧と人々の幸福を切に願うものである。
ねぶた制作/解説 竹浪 比呂央